蒼天ノ剣〜空守と蒼姫〜
氷悠の手から伝わる温もりを感じながら、しっかり握り返す。


氷悠が時々見せる寂しそうな顔――


なんとなく聞くのを避けていた。無理に踏み込めば、きっともう、今の関係ではいられない。


そんな事を空が思った時、前を進んでいた深行が突然立ち止まる。


「どうした?」

「妙だな……蒼海から緑の地上へ通じる道が、閉じている」

「いつもそうじゃないのか?」

「それだと、おかしいんだ。閉じ続けるにはかなりの神力を必要とする、必ず一瞬隙が生まれるはずだし。わたつみと遭遇する事も、おれの計算内だった、なのに――」


ぎりっと深行は唇を強く噛む。


「計算外だ。わたつみの気配そのものが、今、完全に消えた……」

「どうして……?」


空が思わず口にした疑問に、深行は呟いた。



「わからない……けど、こんな事ができるのは、帝国の連中しかいない」



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