蒼天ノ剣〜空守と蒼姫〜
それを視ていた者がいた。


青く澄んだ巨大な水鏡に写し出された蒼の姿を見、唇を噛む。金色の丸い装飾がたくさんついた真っ白なフードを被り、顔は見えない。


いつもこの男は邪魔をする。契約した竜を持っても、この男だけは通じない。そもそも存在自体が特殊で、干渉できる範囲があるにも関わらず。


向かわせた帝国騎士団の隊長である玖音でさえも敵わないであろう。無理に追う必要はない、とあらかじめ玖音には伝えてあるため蒼帝が慌てる事はない。


「しかし、手はある」


蒼帝の目線の先にいたのは水の檻で眠る少年。


ふっと笑みを浮かべる。






「今度こそ、我が望みのために何を犠牲にしても――」






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