どっちつかずのキミ。
遊び心
――はぁ〜……。
嗚呼…、いいな・・・。
机に頬杖を付き、ある一点を見つめて溜め息を漏らすあたし。
柏原 実羽(カシワラ ミウ)。16歳、高校二年生。
いたって普通の女のこ。
今のところ彼氏無し、
モテたことも、付き合ったことも…無し。
漫画やドラマのような運命的な出会いに憧れて、ずっと素敵な恋を待って夢見ている女のこ。
そうしている内に、長いようで短かった夏休みが終わり、早くも二学期が始まった。
周りを見れば夏の間に出来たのか、教室はいつもよりカップルで溢れていた。
「…みう〜」
あたしは誰かに名前を呼ばれ、振り向いた。
すると、
ツンと頬を人差し指で突かれた。
「あ、引っ掛かった。」
遊び心いっぱいで笑ったのは、深谷 浬(フカヤ カイリ)。
こいつはクラスメートであたしに唯一話し掛けてくる男子だ。
といっても、ただいつもあたしをからかってくるだけだけど。
あたしと違って女慣れしてモテる浬は、彼女の数も数知れずだった。
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