どっちつかずのキミ。
「…ホンッとに、もう逃げねぇんだな?」
浬はあたしを腕の中に閉じ込めて逃がさないように肩に手を回してくる。
―逃げない…んじゃない。
もう、逃げられないんだよ。
こんな風に抱きしめられたら、もう逃げたくても逃げられないじゃない…。
抱きしめられた浬の腕の中にドキドキしてきて、あたしはコクッと頷くしか出来ない。
そうしたら、ギュウッと抱きしめる力が強くなった気がした。
心臓が更にドキドキ言いだす。(浬に聞こえませんよーに…!)
「…じゃあ、実羽のキモチ聞いていー?」
フッと耳に浬の息がかかってくる。(わざとですか…)
…待ってよ―。何で…何であたしのキモチ―?
こうして抱きしめられているだけで…胸がいっぱいなのに―?
そんなの…
そんなの言えるかぁ―!!(お決まり実羽の心の叫び)
「実羽は、俺ンこと―…
…嫌?」
また耳に息が…。そっちの方に気を取られて、あたしは返事が出来ない。
だけど決して嫌…な訳じゃない―。
すき……好きだよ。
恥ずかしくて、怖くて素直に言えないけど、そのキモチは確かだ。
だから何とかして、言葉に出来ないキモチを伝えたくて、あたしは浬のシャツをキュッと掴んだ。
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