どっちつかずのキミ。
*浬Side.
実羽が俺のシャツを掴んできたから、俺は最早一瞬引きはがされるのかと思った。
だけどそうじゃなかった。
実羽はゆっくりと俺の胸に顔を埋めてきて身を委ねてきた。
その時、俺は初めて、実羽に受け止めてもらえた気がした。
実羽を待ちぼうけてどれくらいだろう。(ずっと一歩距離を置いてたつもりだ…)
あいつはなかなか俺の方には寄り付いたり、近づいたりして来ない。
というより、いっつも俺から逃げ出す。
俺が気に食わないのか、はたまた嫌いなのか…。
ずっと、俺は実羽には嫌われてよく思われていないんだと思った。
こうして抱きしめたら、きっとまた「嫌」「ダメ」「やめて」と言われると思ってた。
いつも嫌われて当然なことしていたから。(思い出される…過去のあれこれ)
「―俺、待ちぼうけは…
もう勘弁したい。」
―もう実羽を離したくない―
口に出してそう言えば、実羽の耳が真っ赤に染まった気がした。
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