どっちつかずのキミ。







俺の言葉に実羽はうんともすんとも返事をしなかった。

ただ実羽は相変わらず俺に身を任せていて、嫌がるそぶりも見せなかったから、
勝手だとは思ったがもう俺は嫌じゃないんだと捉えた。(自分の都合の良いように捉えたかっただけなんだな…)


―良いのかよ…?

俺のこと、嫌いじゃないのか・・・。

どう思ってるんだ・・・?

それが聞きたい。実羽の答えが、知りたかった。(自分のキモチを言うのは先延ばしにしようとする情けない俺…)

ただひたすら実羽のキモチを推し量ろうとした。


だけど…もう、いくら考えても考えても分かる訳がなくて(当たり前だよな…)。

実羽は俺の胸に顔を埋めているから、今どんな表情をしているかさえ分からない。

俺はどうすれば良いか分からなくて、全く身動きが取れなかった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


お互い無言のまま、ただ時間だけが過ぎて行く。


―…もう、そろそろ俺も限界だった(何やってんだ俺…)

このままじゃいつまで経っても埒が明かないだろう。

いつまでもこうして、明確な実羽の答えを待ってるなんて馬鹿げている(やっぱりまず、俺だよな…)


やっとのことでそう思い立った俺は、一つ息を大きく吐き出して口を開いた。









.
< 103 / 110 >

この作品をシェア

pagetop