どっちつかずのキミ。








…いつもいつも、キミがあたしで楽しんでいるのが悔しい。

あたしはツンと口を尖らせて、浬の顔を上目遣いで見上げた。


「…実羽のその目―

また、誘ってんの?」

浬はニヤッと笑ってあたしの髪を一束すくった。


・・・は、はぁ―?
何勘違いしてるんだこいつは…!(どうしたらそんな風に思う…)

「…だ、誰も誘ってないから!」

あたしは精一杯反論する。


「―そう・・・、
じゃあ嫌…?」

そう言って浬はあたしの髪を弄びながらジッと見つめてくる。

それにさえ、あたしはキミの虜になっていく。

浬があたしの髪にチュッと音を立ててキスをした。


あたしはビックリして、口をパクパクした。

「―はぁ・・ッ!

も、もうッ!サイテー」


やっぱりあたしを振り回してるのは、キミじゃないの。

あたしの反応を見て、ハハッと声を上げて笑う浬が憎らしい。


―もうキミは…ホントに何なんだ。

そうやって、いつもいつもあたしを弄ぶ。たぶらかす。

あたしは今までずっと、そんなキミに悩まされた。

いつもどうしてもキミには敵わない。勝てない。って思う。



・・・・だけど、

悔しいけど・・・あたしは―

キミがだい好き…なんだよね。


キミはあたしの…

たった一人の愛しい、とっておきのキミなんだよね。







*END*.
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