どっちつかずのキミ。







あたしは真っ直ぐ、瞬きもしないで浬を見つめた。

やっぱり、慣れてるのかなって思う。

浬は、その手の経験も豊富そうで女のこを喜ばせる言葉をいっぱい知ってそうだから。


「別に誰にでも言ってる訳じゃね―よ。」

浬は少し怒ったように言った。

…嘘。こいつは女のこなら誰でも良いんだ。

あたしは浬の言うことを信じられなかった。

「…そお。でもお世辞や冗談で言ってるなら、嬉しくない。そんな期待させるような言葉、あたしは嫌い。」

浬にキッパリとそう言ってやった。

「もう…あたしに構わないで。」

そして、こうも言った。

あたし一人相手にしなくなっても、浬は別に何ともないでしょ。


浬はそれまで微動だにしなかったのに、あたしがそう言った途端、顔色が変わった。

「何だよ、それ…!」

いきなり怒鳴ったかと思ったら、あたしは両腕をガシッと捕まれた。

それは、いつもの遊び心たっぷりの、あたしをからかう浬じゃなかった。

まるで、別人になったみたいで……。







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