どっちつかずのキミ。
「・・・なんで?…何でキスなんか―」
したの?
あたしは浬に向かってそう言い放つ。
浬はまだ自分のお尻を摩っていて、困ったような何とも言えないような顔をしてあたしを見た。
―きっと…これもほんの遊び心で、でしょ?
そう言いたくなるのを、あたしは唇に手を当てて抑えた。
「…キスしたかったから。」
浬はしばらく黙っていたかと思うと、またそうぶっきらぼうに言った。
「実羽に、キスしたかったから。した。」
そう言って、あたしを真っ直ぐ見つめてくる浬。
見たことないくらい、力強い瞳だった。
あたしは一瞬でもその目から逸らせなくなって、その視線を受け止めてしまう。
…ずるいよ、そんな目。
そんな言葉。
だからあたしは…浬なんて、大嫌い。
あたしは涙目になって、浬をキッと睨みつけた。
「そんなこと、信じられないっ!浬なんてもう大ッ嫌い!!死んじゃえっ」
そう言い捨てて、あたしは自分のバッグを掴み教室から飛び出した。
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