どっちつかずのキミ。








…はぁ、はぁはぁ―。はぁ…。

あたしは教室から出た後、学校の廊下を走って人気のない辺りまで来ると、息を切らし足を止めた。

ボロボロとあたしの目から大粒の涙がこぼれる。

ファーストキスだったのに…。

あんな、訳分かんない状況でのキスなんて…。

―最悪。

もう消しちゃいたい。

あたしは溢れる涙を拭くことなく、自分の唇に手を当てる。

…まだ、浬の唇の感触が残っている。

ただ柔らかい唇が当たるだけのキスだったけど、それでもキスには変わりなくて。

あたしはゴシゴシと自分の唇を拳で拭いた。


ファーストキスは絶対好きな人とだと決めてたのに、好きでも何でもない奴に奪われるとかありえない。

浬はあたしの友達でもないし、カレシでもない。

それなのに・・・何であたしとキスしたかったなんて―。

あたしはよくそんなことが言えるなって思った。


浬にはそんな、軽い気持ちでのキスだったかもしれないけど、あたしには大切な一回きりの出来事で、ずっと夢見ていた瞬間だったのに。

…ぅう――。

あたしはその場に疼くまって一人とめどなく涙を流した。








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