どっちつかずのキミ。
まだ一人床に座って落ちてる俺を差し置いて、自分の鞄に荷物を詰め、さっさと帰ろうとする吉井。
教室のドアまで向かって、何を思ったのか、吉井はクルッとこっちを振り向いた。
「そうだ。あんたさ…、みうみうのこと好きなら、ちゃんと言った方が良いよ。
じゃないと、あのこ鈍いからいつまで経ってもあんたの気持ち、気付かないよ」
じゃあね―。
そう言いたいことを言うと、吉井は帰って行った。
「…んだよ―。」
俺は吉井が帰った後、一人になってからぽつりと呟いた。
あいつには、全部バレてんのかよ…。
ありえね―…まじダセェ。
俺の口からハァーと何とも言えない大きな溜め息が出た。
―クソっ…、なかなか侮れないな、あいつ。
俺は吉井の言う通り、実羽のことが好きだった。
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