どっちつかずのキミ。








[も―浬はぁ…]
[止めてよ、浬の馬鹿ぁ]

いつもいつも、俺が実羽をからかうと、ちゃんとその一つ一つに反応が返って来るのが面白くて、可愛いくて…そして愛しくて―。

いつの間にか、実羽をからかうのが俺の日課になってて。

さっきキスをしたのだって、実羽にこっちを向いて欲しいから。


あ―…馬鹿だよなぁ、俺。

だったら、他にいくらでも方法はあったのに。

いくら何でもキスなんか。

そりゃあ実羽じゃなくても怒るって。

俺は今更になって、自分の行き過ぎた行動を後悔して自分を責め始めていた。

また溜め息を漏らし、自分の頭をガシガシと掻いた。

…もしかすると、実羽に嫌われたかもしんね―。

てか、実際大ッ嫌いって言われたしな…。

俺はまた実羽が教室を出て行く時に言われた言葉を思い出す。


――たかがキス一つ。されどキス一つ。

俺は、やっとのことで実羽に大変なことをしてしまったということを理解した。







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