どっちつかずのキミ。









*実羽Side.



―グスん…ズズッ。

うー涙が止まらないよ。
鼻水も出て来た。


あたしはまだ学校の校舎裏にいた。

「…浬の馬鹿、嫌い嫌い…大嫌い。」

あれから何度呟いたか知れない。

あたしの口からは、次々に浬への文句が飛び出してくる。

――もう思い出したくもない。
もう顔も見たくない。

浬のばか。ばかばかばか・・・・・

何でよ。何で何で何で―――。

あたしは一人パニックになっていた。

それもそのはず。

たった一度の、大事な大事なキスを一瞬にして奪われたんだから。

出来るなら、あたしの記憶からあのキスをフリーズさせたい。

なかったことにしたい―。

あそこだけ、あの瞬間だけが変われば良いのに。

あたしはさっきから何度もそう思っていた。


だけど実際、キス自体はそんなに嫌じゃなくて。

そりゃすごいショックで、もうびっくりしたけど・・・。


決して嫌だった訳じゃない。


ただただ、驚いただけ。







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