どっちつかずのキミ。
「もう浬クンとのキスなんてさ、なかったことにしちゃえ!
とりあえず口、濯いだら?」
「うん、そうする!」
綾の提案にも素直に頷いた。
あたしは学校の運動場にある水道で口を綺麗に濯いだ。
そしてスカートのポケットからハンカチを出して濡れた口を拭く。
キスはそんなに嫌じゃなかったけど、あたしは突然のことでまだ頭がついて行かなくて。
とりあえずあのキスを水に流してみることにした。
そうしてあたしと浬の間には、何もなかった、
・・・
何にもなかった。と―…
そう思い込んでみるようにしてみた。
「よし、ぢぁみうみうリップある?それ塗って、もう帰ろ。すっかり遅くなっちゃったし」
綾がウーンと一つ大きな伸びをしてあたしを振り返った。
「うん、あるっ!塗る!!そおだね〜遅くなったねっ!早く帰ろっかあ!!」
あたしはそれにもまた素直にコクンと頷き、さっきと打って変わり明るい笑顔を見せた。
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