どっちつかずのキミ。
さすがの綾もそれには苦笑いして、ウーンと悩むように答える。
「だからって…口も聞かないのは、ちょっと可哀相じゃない?
浬クンもきっと、反省してるだろうし」
…でも、嫌なものは嫌で。決めたことは決めたことだ。
あたしにだって、どうしても譲れないものがある。
それに浬には、少し痛い目を見てもらった方が良いように思った。
いくら可哀相だからって、あまり甘やかして後で浬にまた調子に乗られると困るし。
あたしは綾にフルフルと首を振って、無言で嫌々と答える。
そうしてゆっくり目を伏せ下を俯いた。
さっきから浬のこっちを見つめる視線が、痛い程突き刺さってくるから。
気にしないように、考えないようにしようと思っても…
目を閉じるとあたしは思い出す。
繰り返し、繰り返し。
あたしの中で何度もあのキスが付き纏って離れない。
でもそれさえも嫌じゃないことが不思議で、忘れられないことで悶々とする。
キスのことばかり一人意識しちゃう。
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