どっちつかずのキミ。







だけど、この男は。

「あ。実羽、今俺ンこと見とれてたな?もしかして…好きになっちゃった?!」

遊び心たっぷりに笑うとはしゃいでそう言ってくる。

「別に、誰もあんたなんか見とれてないし、好きにもなってないし!も〜大嫌いだもんっ」

あたしの口から、可愛いくない発言が飛び出した。

その相手が浬だから良いものの、これが好きな人だったら間違いなく終わってるよね。

あたしは自分で言っておいて、自分に情けなくなる。

周りはあたしを変なこを見るような目で見てきて、特に女子のあたしを睨む目が怖かった。

…浬のファンを敵に回してしまったかもしれない。
うわぁ、もう消えたいよ…。

あたしは目をつむり、下を俯く。


「そっか、残念。俺は実羽のこと好きなのに」

肩を竦めて少し残念そうな顔になる浬。


…え?今、好きって―……

本気じゃないよね。

いつものように、ただからかってるだけだよね。

あたしは、浬の言葉を真に受けずにまさかね、と振り払った。






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