どっちつかずのキミ。







「…実羽、手紙読んでくれたか?」

数学の授業後、俺は実羽に念の為それだけは確認しようと思い、近づいて行って話し掛けた。


だが実羽はやはり、俺の言葉に何も答えてはくれない。

それどころか、まだ机に突っ伏してピクリともせず起き上がることさえしなかった。

…寝てんのか?

それとも、俺を無視するために
わざと寝たふり?

俺は一体そのどちらなのか分からなかったが、出来るならば前者であって欲しいと思った。


正直、俺は実羽と絶交は、きつかった。

まさかこんなことになるとは予想してなかったから、俺はさすがに弱り果てている。

今まで、どんな女と絶縁してもここまで気持ちが落ちることはなかった。


きっと、実羽だから…。大切だから、守りたいから、好きだから―。

触れられる程こんなに近くにいるのに、さわれないことが辛い。話せないことが苦しい。

俺はこんなに絶交がきついものだと知らなかった。







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