どっちつかずのキミ。








・・・実羽、起きろよ。

起きろって―。

こっち、見ろよ―…。
頼むから・・・。

俺は声には出さず、机に俯せている実羽に向かって頭の中で何度もそう唱えた。

実羽が起きてくれると信じて。


その時だった―、

「・・・ん、んん―…

…へ。あたし―、
ねてたぁ?」


俺の願いが届いたのか、実羽が目を覚まし机から顔を起こした。

そうしてゴシゴシと目を擦って、眠そうに欠伸をした。

目がまだ明かりに慣れないのか、しばらく実羽はボーッとしたかと思うと、

「…いま、なんのじかん?」

と俺に尋ねて来た。

…やべ、可愛い―。

俺は寝ぼけている実羽を見て、口を聞いてくれたことに嬉しくもなり、思わずニヤケてしまった。

「今はまだ休み時間だけど?」

ニヤケる口元を押さえ、実羽に言った。

「…ふ〜ん、そっかぁ。」

実羽はふわぁ、とまた大きな欠伸をして目を擦った。


やがて、次第に目がはっきりしてきたのか、実羽は俺の姿を見ると一瞬、ハタッと固まった。








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