どっちつかずのキミ。








「…ぅうん。何でもないよ!

おはよ、綾」

あたしは綾にバレないように手紙をサッと後ろに隠して、何でもないように気丈に振る舞った。


「―そう?

あ。そういえばッ!

昨日どーだった?浬クンと♪」

綾はあたしを特に気にするでもなく、上履きに履き替えながら思い出したように笑ってそう聞いてきた。


「うん…。楽しかったよ」


「そっかぁ!

実は、あたしから二人きりにしといて気になってたんだよね〜。

後で詳しく教えてよ♪」

ニッコリ笑って綾は言った。

「ぅ…うん」

あたしは少なからずためらって答える。

まだ後ろ手に隠し持っている手紙とさっき感じた視線があたしの胸をドキドキ言わせる。

今はただ動揺が顔に出ていないことを祈るしかなかった。

「じゃ、教室行こっ」

綾のその言葉であたし達は二人揃って教室に向かった。


教室に向かいがてらにも、あたしはずっとあの手紙と視線のことが頭を過ぎってしまい、歩きながら話し掛けて来る綾の言葉を上の空で適当に流していた。







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