どっちつかずのキミ。








あたしはしばらく倉庫の中でグッタリと脱力していた。

殴られたお腹がまだズキズキと痛くて迂闊に動けない。

携帯は置いて来ちゃったし―。助けを呼びたくても呼べない。

あたしはガックリと肩を落とした。



…ダメだ。こんな所で落ち込んでる場合じゃない。

ここから何としても出なきゃ…。

あたしはようやく、のそのそと動き出し力いっぱいドアを内側からドンドンと叩いて助けを求めた。


だがもう授業が始まっている頃なのであろう、辺りはシンと静まり返ってあたしのドアを叩く音以外は物音一つしない。


ましてやこの用具倉庫は人気のない校舎の裏庭にある。

どんなに大きな声を出しても届くのはもう気の遠くなるようなことで―…。

あたしは路頭に迷い込むような気になった。



…どうしてこうなっちゃったんだろう。

あたしはただ浬の傍にいたかったのに。

それさえもダメなの―…?

ダメ、と言われたような気がした(本当に気がしただけど…)。



―何よ何なのよ…。

何でダメな訳…?
そんなの納得出来ない…ッ!

あたしはキッ、とドアを睨みつけ、力任せにドアに体当たりをする。

だけどドアはびくともしなかった。(…力、足りなかったかも…?)







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