どっちつかずのキミ。









「ケホケホ……ハァ―。」

少し息を吸っただけで、あたしは乾いた咳が出てくる。

用具倉庫の中はずっと使われていない為か埃っぽかった。(ドアに体当たりしたせいもあると思うけど…)


昼間なのに中は暗く、あたしは何とも言えない閉塞感を覚える。

それであたしは今一人ぼっちなんだと改めて自覚する。


きっと綾はあたしがいなくて心配してる…。

浬も…心配してくれてるかな―?

それとも、あたしがいなくても浬にはどうってことないかも―・・・。


一人でいるとそんな不安に駆られ、あたしはどんどん良くない妄想に襲われていく。

ちっとも考えたくないのに止められない。


あたしは一人ぼっち…。一人ぼっちなんだ……。


もしかしたら、あたしはもうここから出してもらえず、一生ここで一人で過ごすことになるかもしれない―…。

そんな怖い考えが次から次へと浮かんでしまって、あたしは恐怖と不安で押し潰されて目にいっぱい涙が滲んできた。


…いや―。いやいや。嫌だ。

あたしはそんなの…

一人ぼっちは嫌だよ…。

あたしはブンブンと首を振ってその考えを打ち消す。

ギュウッと目を閉じて頭からその考えを追い払おうとした。


「やっぱり…ダメ。」

どうしても考えてしまう。


…怖いよ。淋しいよ。

助けて…助けてよ浬ぃ――・・・。

あたしは浬の名前を繰り返し繰り返し心の中で何度も唱えた。








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