どっちつかずのキミ。








…実羽。何処だ、何処にいる―?

保健室、視聴覚室、音楽室、美術室、理科室…。

俺は校内を手当たり次第に回って実羽を捜した。


「―浬クン!」

吉井が向こうから廊下を走って来た。


「いたか?」


「ダメ。使われていない空き教室をどこも回ってみたけどいなかった…」


「女子トイレや更衣室は?」

「…………」
フルフル首を振って、無言でいない、という仕種をする吉井。


「そうか…」

実羽―。

一体、何処にいるんだ…?


実羽が行方不明だということが俺を暗く、不安にさせる。


こんなことになるなら、もう実羽をちゃんと掴まえてれば良かった。

掴まえて、もう一時も離さなければ良かった。

そう全部俺が悪い・・・・。

俺のせいだ。実羽がこんなことになったのは―。

俺はやるせなさから、どうしようもない自分を何度も責めていた。







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