どっちつかずのキミ。
「他に当てはないのか…」
独り言のようにそっと呟く。
俺はふと制服のズボンのポケットに入れていた携帯を取り出した。
それで携帯の電池カバーの裏に貼ってある、いつだったか実羽と取ったプリクラを思い出す。
それは誰にも見られないようにそこに貼って、こっそり隠した大事な俺の秘密。(…女々しいとか何も言うなよ)
実羽の携帯‥‥は教室だよな―。
やはり、もう手は尽きたか‥‥‥。
―ぁあ‥なんて情けないんだ。
他に何も為す術がないなんて‥・。
俺には、実羽を守る資格さえないのか…?
俺のせいでこうなったのに、もう実羽を助けに行くことも出来ないのか。
・・・いや、俺はまだ何もしてないじゃないか―‥。
俺はやっとそう思い立って、ダッシュで廊下を駆け出す。
「ちょっと…浬クン!?」
吉井はいきなり走り出した俺を慌てて背中越しに呼び止めた。
(悪い…吉井。ここからは俺一人で捜す)
心の中でそっと吉井に謝った。
実羽は絶対、校舎の何処かにいる。
誰かが助けに来てくれるのを待ってる。
俺が行かないでどうする?
俺が見つけ出さないと‥‥今度こそ実羽をちゃんと掴まえないと―‥‥。
俺はもう一度実羽を捜しに、今度は校庭の方に向かった。
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