どっちつかずのキミ。








こんな風に一人でいる時は浬のことを思い出す。

いつもあたしをからかってふざけてる浬だけど、一緒にいるとこっちを楽しませ和ませてくれる。


そもそも、あたしと浬が初めて出会ったのは高校一年の時―‥・。

新しいクラスになってから、初めての席替えで隣の席になったんだ。


「…えーと。俺の隣は―

柏原‥・み、は、ね?」


「み・うッ!実羽って書いてみうって言うんだってば。

いい加減、覚えてよね!?」


「ぁ、ワリィー。

みう、か‥・うん、可愛い名前!

俺は深谷 浬。って知ってるよな?笑

じゃあ、よろしくな実羽!」

そう言って笑った浬。


思えば浬は最初からあたしに対して、壁は作っていなくて平気で土足で踏み込んできた人物。

―だからかな。キミが何を考えているか分からなくて…。



「カレシ欲しいな…」

いつだったかあたしがぽつりとそう漏らした時―

「俺がカレシになってやろうか?」

笑って返してきた浬。

どうせまた遊びで軽いジョークだと思ったから、

「生憎だけどお断り!

あたしはまだ汚されたくありませーん」

………………って言ったっけ。



…あの時、“Yes”と答えていたら―あたし達はどうなっていたのかな。

少なくとも、二人の間柄は、今とは全く違うものになっていただろう。







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