どっちつかずのキミ。








綾が教室から出て行って一人になったあたしは、そろそろとやっと帰る支度を始めた。

バッグに荷物を詰め、綾が帰って来るのを一人待つ。

それまで残った飲み物をチューと吸って、最後まで飲み欲した。

後は特にすることもなく暇になったあたしは、携帯を開いていじって過ごした。

…何か静かだなぁー。

一人で誰かを待っているのは、楽しくもあり寂しくもあり。

そして悲しくもあり…。


時々一人でいるのが心細くなる。

それはもう誰からも相手にされず、ずっと孤独のままなんじゃないかと思ってしまうから。


あたしは、本当は運命的な恋なんてそうそうないと分かっていた。

だって今これが、あたしの現実だから…。


あたしは携帯の電話帳を開いて、仲良しの友達に淋しさを紛らわす為メールを打った。



どれくらい経っただろうか。

いきなり、ガラッと教室の入口の扉が開いて、入って来たのは……


「…実羽じゃん。何してんの?」

浬だった。


「綾を待ってんの」

あたしは携帯から目を上げ浬だと分かると、また携帯に向き直った。






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