どっちつかずのキミ。








…浬!浬だ!

あたしはパァッと嬉しくなって感激で涙が溢れそうになる。

「浬ッ!浬ぃー!

あたしこっちにいるよ!用具倉庫の中にッ」

内側からドアを思いっ切りドンドン叩いて浬に居場所を知らせた。



「…実羽!?」

浬はあたしの声に気付いたようで、こっちへバタバタ駆けて来る足音がした。

そうしてガチャガチャと音がしたかと思うと、やっとバンッ!とドアが開いた。


「・・・みう―・・・いた―。

やっと…見つけたー」

そこには額にいっぱい汗を浮かべた浬が立っていた。(何故かいつもの倍カッコ良く眩しく見えた…気がする)


「良かった―‥・実羽が、無事で…、
俺‥・お前に何かあったらどうしようって―…。

はぁ…ゴメンな、俺気付いてやれなくて…。
俺、ホント駄目だな…頼りないよな……。

ゴメン―」

あたしはフルフル首を左右いっぱい振ることしか出来ない。

言葉を出したいのに、喉に詰まって何も言えない。

ただただ、会えた嬉しさで涙を流した。



「実羽。もう大丈夫だから。

俺がいるから―…もう一人ぼっちにさせねぇーよ。

もー掴まえたから。」

と言うと浬は、ニッと悪戯っぽく笑ってあたしをギュウッと抱きしめる。

あたしは、また不覚にもキミにドキッ、とさせられた―。










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