どっちつかずのキミ。








一体、さっきから何回、何故にあたしの心臓の音は乱れているのやら…。

あたしはタオルで浬の顔を拭いてあげながら、心の中でそんなたわいもないことを考えていた。


―その時。

浬の手が、タオルで拭いていたあたしの手に触れた。

(バクバク…バクバク)

―ちょっと、あたしの心臓、やっぱりおかしいんじゃない?

さすがにこれは、自分でもどうしようと焦り出した。

(絶対、異常だ…)


でもあたしの体はカチンコチンに固まって少しも動けない。

ただ浬に触れられた手を、じっと見つめているしか出来ない。


タオルで拭いてあげているから、浬の顔は全く見えない。

だから浬が今どんな顔をしているのか分からないけど、浬はきっといつものように、余裕こいてるんだろう。

でも、あたしにはもう―…既にこれだけで限界。(心臓が…)

嗚呼―、あたしの心臓。
本当に大丈夫だろうか・・・。



「か、かいり…」

とりあえず、あたしはぎこちなくも浬の名前を呼んでみた。(これが精一杯で…)


「―ん〜!

あー、
サッパリした。」

浬はしばらくしてからあたしの手を離し、タオルからバッと顔を上げた。

それは眩しいくらいの、キラキラ輝く(今まで見た中で一番の)笑顔で―…



―ドッキン―


あたしの心臓が、より一層、大きく跳ねた。









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