どっちつかずのキミ。








…なんで。何で今日はこんなに―、こんなに、心臓が激しく動かされるのよ―‥・。

何で…いつものように笑われてばかりなのに―、いつもと大して変わらないのに―…、

今は浬の笑っている顔が、言葉が、いつもよりも全然違っているように感じるのよ・・・。



「実羽ー…

まだ、怒ってる?」

じっと黙っているあたしの顔を浬がそうっと恐る恐る覗き込んで来る。

あたしはハッとして、浬に顔を見られないように手で覆って隠した。(絶対、今顔赤いから…恥)

「実羽…ワリィ…

泣いてる?ゴメン、

俺そんなつもりじゃ―…」

それで浬はあたしが泣いてると勘違いしたのか優しくそう問い掛けてくる。


(ドキドキ…)

そうしていたら、浬は遠慮がちにポンポンとあたしの頭を、子供をあやすみたいに手で撫でて来た。


(ドキドキ…ドキドキ…)

あたしの心臓は、まだまだ、正常じゃない。

ずっとドキドキが止まらない。それどころか更に加速していく。

浬の行動一つ一つ、言葉一つ一つに、あたしの心拍数は上がっていく…気がする。



何故、いつもとそんなに変わらないことをされてるのに…こんなにドキドキしているんだろう――。

…一体、浬の「何」がいつもと違っているというんだろう・・・浬の「何処」が違っているというんだろう・・・・。



――――――――違う。


浬が違っているんじゃない。

浬は、いつもと少しも変わらない。


違っているのは…変わっているのは……、

あたし。

あたしの――――浬に対する、意識…。







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