どっちつかずのキミ。
誰かのツカツカとやって来る足音は、あたしの前でピタリと足を止めた。
あたしは床に出来た影に気付きふいっと後ろを振り向く。
―浬・・・。
浬は何処か掴みきれない顔をし、あたしを無言で見つめて立っていた。
その表情からは何を考えているのか分からない。
もしかして、何か言われる―?さっきのこと…。
しかし、
「…ホラよ、忘れ物。」
といって浬はあたしの頭にいちごみるくをポン!と置いた。
あ…取ってくれたんだ。
「あ、ありがとう…」
「…ん。」
浬はそれだけ言うと、クラスの友達の所へ行った。
―え…。
それだけ…?もっと言うこと他にないの―?
あたしは知らず知らずに浬の姿を目で追っていた。
【こんなの…もう、やめて―‥‥
あたしはッ、子供じゃないもん…ッ!】
自分から浬にあんなことを言った癖に、あんな態度を取った癖に…あたしはもっと相手にして欲しいと思っていて。
だからいつものように構って欲しい、なんて。
あたしはやっぱり欲張り…だね。我が儘だよね。
浬が持って来てくれたあたしのいちごみるくは、もうぬるくなっていた。
いつもは美味しいと感じるいちごみるくなのに、今日は何故だか全然美味しくなくて、何だかちっとも味気無かった。
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