どっちつかずのキミ。
*浬Side.
俺は、実羽が忘れたいちごみるくを届けてやった。
…全くあいつは、本当に困った奴だ。(買ったやつ忘れんなよ…)
俺はらしくもない大きな溜め息を付いた。
ふと、いちごみるくを飲む実羽が目に入る。
「…そして、飲んでるし…」
やっぱりいちごみるくは実羽に似合っていた。
いちごみるくは可愛さの象徴であり、俺は実羽にピッタリだと思った。
「浬、何か言ったか?」
ダチの祐輔が聞いてきた。
「いや?何でもねぇー」
それで俺は実羽からダチの方へ目を戻した。
俺はもっと実羽のことを知りたいと思っていた。
だって……やっぱり、まだ掴めねぇ。
近づいたと思ったら、また離れる。離される。
知らないあいつが多すぎて。
俺はまだ何も分かっていないんだと思った。
さっきも子供呼ばわりしたのはさすがにやばかったな、と反省していた。
実羽はいつだっていとも簡単に俺の手をすり抜けていく。
俺は未だに実羽が掴みきれなかった。
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