どっちつかずのキミ。
「そっか…お前もとうとう一人の女に気持ちが固まったのか!」
「お前も、って何だよ?
何か一々引っ掛かるな」
俺は祐輔の言葉に軽く苦笑する。
確かに俺は今まで女にだらし無かったのだけど。
これといって一人の女と長く続いたことは無かったし。
取っ替え引っ替えしていたかもしれない。
だけど…今はもう俺は実羽しかいらない。否、もう実羽がいい。
しばらくしてチャイムが鳴り、5時間目の授業が始まった。(何か時間の流れが遅い気がするが…)
数学…まぁまぁ俺の得意科目だ。
俺はチラッと前の席にいる実羽を見る。
しかし、後ろからでは実羽の横顔くらいしか見えない。
…気付け。
気付けよ。こっち気付け。
俺はたまにこんな風に心の中で実羽に念じる。
いつか実羽がこっちに気付いてくれると信じて、待っている。
一度でいい、実羽を振り向かせたい。
いや、やっぱり…一度では物足りない。(欲張りで結構…)
もっと、もっと。
俺のことを実羽に意識してもらわないと…嫌なんだ。
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