どっちつかずのキミ。








「‥‥う、みうー‥・

はぁ…、こんな所にいた。」

突然、後ろからそんな声がした。


…誰―?


あたしはそろそろっと後ろを振り向いた。


―‥・綾‥・だ。


そうだよね…浬があたしなんか追い掛けて来る訳ないもんね…。はは…は。(遠い目)



綾はこっちへゆっくりと歩いて来ながら「みうみう。」とあたしの名前を呼んだ。

「浬クン、心配してたよ…?

教室戻ろーよ」

だけどあたしはそれには答えず、下を俯いてこう言った。

「・・・ねぇ―‥・綾?

あたし達―…このまま変わらないのかな‥‥?」


「…みうみう?」


「あたし…あたしね‥‥、浬が好き―…なの・・・・。
このままの関係じゃなくて―…浬の一番になりたい―・・・・。
だけど、浬は…多分きっと、あたしをそういう対象としては見てくれてない―・・・・。」

あたしがそう言ってから、綾が口を開くまで一時の間があった。


綾はしばらくしてから、あたしの目を見つめて真面目な顔でこう言った。

「―それは、まだそうとは限らないでしょ。
浬クンとちゃんと話して、向き合ってみなきゃ…分からないんじゃないの?」

そんな綾の言葉がじんわりとあたしの心に染みた。


…分かってたのに。

ホントは分かってたのに。

ずっと向き合うこと、怖がっていた。

あたしは愚か者だ。


だけどこのままでは、いつまでも何も変わらない。

―もう…そろそろあたしはけじめを付けたい。


あたしは綾にコクッと頷いた。


……もうここまで来たからには、ちゃんとキモチをはっきりさせたかった。








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