臆病なサイモン
ど、バチッ!
「…っひっ!」
目が合った瞬間、ホンダファミリーが蒼白になって後退りやがった。
なんだよ、人をオバケみたいに扱いやがって。
階段の段差に体育座りしてる俺を見て、度肝を抜かれたらしいホンダファミリー。
真正面から見た三人は、やっぱ真正面から見ても似てた。
同じような細いフレームメガネに、ひねくれてそうな細い目尻、戸惑いがちに痙攣する口。
なんか、スネ夫よりタチわるそう。
劇場版でのみ男気が上がるジャイアンよりわるそー。
なんて考えてたら。
「不良め…!」
そう吐き捨てられた。
そのままホンダファミリーは脱兎の如く逃げて、俺、置いてけぼり。
今の悪口、結構レトロな切口だったよな、ブラザー。
やるじゃんホンダファミリー。
…まあ、褒めてやる義理は微塵もないけど。
つかむしろ、ダンゴにしたこと考えたらマジリンチの刑だから、こいつら。
「…で、君はなにしてるの」
はーいついでに俺も、リンチ決定。
ぽい。
グッバイ、インキナホンダファミリー。
ハロー、クライングベイビー、サイモン。