臆病なサイモン
ちょい前の俺だったら、新しい環境で、新しいダチンコを作れるか、ってことで悩みまくってたかもしれない。
でも、今は。
『…それは良くないことだよ、って私が言えば、サイモンは「誰でもいい誰か」を信用しようと努力するわけ?』
ダンゴに言われたこの言葉を、もう何回も反芻してる。
『誰でもいい誰か』。
誰でもいいわけが、ない。
『ダチンコ』ってのは、そんな風に考えて作るもんじゃない。
…そんなの、ずっと昔から知ってたこと。
明け透けで飾らない、明るいやつらを見る度に羨ましくなって、「隠さなきゃならないこと」を持っている自分が疎ましくて、みんなを妬んだ。
正面きって、『こいつ、俺のダチ』、って言えるやつらが、心底から羨ましかった。
俺も言いたい。
言われてみたい。
バカだよな。
こっちから信頼しないで、誰が信頼してくれるっての。
重症コンプレックスの塊を腹に抱えながら、俺はいつもビビってばっかだ。