臆病なサイモン
「それはないんじゃない」
コンビニで買ってきたシュークリームを口に放り投げながら、ダンゴは俺と目も合わさずそう言った。
相変わらずの夏空。
の下の、カラカラに乾いた屋上。
喉も渇いてる。
ヘィブラザ。
今日もノッテルかい?
「…ない?」
シュークリームのクリームだけ吸い込んで、俺はダンゴの表情を目だけで確認する。
相っ変わらずの無表情。
そんな顔ずっとしてて、顔面筋肉は固まったりしないのだろうか。
なぁ、ドクター。
ちょっと言ってやってよ。
年頃なんだからもちょっと笑ったらどうかしら、って。
あ、女医な。
細いフレーム眼鏡掛けてて、赤のトップスに谷間丸見えのデーカップ以上希望。
で、白衣。
…唇はぽっちゃりよりアクマみたいに薄い唇で、ん、もう赤いグロスてらてらしてるようなやつ。
…俺、そこは譲れないわ。
「ないよ。あるわけないし」
かふ、と空気が抜ける音がして、ダンゴの口端からカスタードクリームがはみ出す。
あ、エロー。
…じゃ、なーくーてー。