臆病なサイモン








―――でもダンゴは、そうじゃない。

俺みたいな奴を、いちいち声にだしてオマエはダチだなんだって、生温いこと言ったりしない。

そこがまた、俺を引き寄せたりして。

…俺、マゾ覚醒。


でもだからって、正直、「恋しちゃってルンルン」の好きとかじゃなくて、なんていうか、「ヒーローに憧れてわっしょい」的な、憧れ。

に、近い。

俺みたいなバカちんに見向きもしない雲の上のヒーローが、「ダンゴ」。

底辺で這いつくばってる俺は、ソイツに心底から憧れちゃってる。

憧れてる、なんて、軽率だけど。

こっちから、どれだけダチンコになりたいって思ってても、相手にその気はなくて。

バカな俺はひとり、ダンゴの背中ばかり見つめては、空振ってばっか。

小さい頃、ブラウン管の向こうでバッサバッサ悪者をやっつけるヒーローに、届かない声援を叫ぶような。


―――片道通行て、辛い。



「…あ、」

俺はそれを、知らん顔して、ずっと繰り返してたんだ。


俺とダチになりたい、って思ってくれたやつに。

サイモンと居ると楽しい、って、言ってくれたやつらに対して。







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