臆病なサイモン
『…むしろ気付いてくれた人間に感謝すべきことなのに、』
その通りです、先輩。
『君はビビって逃げるだけ。サイテーだよね』
しかもソイツ、片親も知らないキンパツ野郎?
ああほんと、サイテーだよな、俺。
あーあ。
(…つらぁーい)
ずきーん、と心臓が鳴いた。
そういうこと、毎日毎秒のように考えてたくせに。
自分を守ってばっかで、貴重な思春期マモリに入って、情けないやつ。
口先でダチンコ気取って、いざ頼られたりしたらふらふら誤魔化して逃げたりして、俺、サイテー。
そんな自虐と罪悪感に苛まれながら、実感が湧かないまま、だらだらやる気なく過ごしてたんだ。
―――ダンゴに、会うまでは。
「…夏休みは長いから、サナギになるのも、のんびりでいんじゃないでしょうか、サイモンくん」
だから焦るな、って。
俺が押し潰されないように、チープな言葉で着飾って励ましてくれてるって、解る。
で、こんな時、俺は絶望するんだ。