臆病なサイモン
ダンゴは、俺達ダチンコだよ!なんて生温いこと、公言したりしない。
俺のことも、ちょっと親しいだけのクラスメイト、くらいにしか思ってない、多分。
『親死んじゃって、カワイソー』
その証拠というように、ダンゴはそのことを俺に話そうとしない。
ぽつりと、悲しいとか寂しいとか、そんなことも漏らさない。
だから、俺も訊かない。
かっこつけてるわけじゃなくて、自分からは訊かないと言った手前、訊けないだけ。
ダンゴは相変わらず、クラスの女子とも男子とも関わろうとしないから、ある意味、「ミステリースポット」。
だから、この学校でダンゴの事情を一番知ってるのは、多分、あの「ホンダ」ひとり。
実はちょっとだけ、あの「ホンダ」を問い質してやろう、とも思ったりもしたけど、しない。
できない。
そんなのダサいし、卑怯だし、第一、そんな真似したら、ダンゴは俺を絶対に許さないだろうから。
…ぶっちゃけそれはマジで、ごめん被る。
俺は今のこのダンゴとの絶妙な関係を、マジで、真剣に、壊したくない。
恥ずかしくってそんなん言えねーけど!