臆病なサイモン
「おぎゃあああっ」
「なんかっ…、なんか動いたあああ!」
「ちょ、まっ、H田くん置いてかないでぇええ!」
すんまっせぇえええんん!
おもっくそナメてましたあああああっ!
「ちょっとナニコレナニコレ!ナニコレ珍百こえええ!」
「くらいくらいくらいくらい!」
僕を誘った友人の悲鳴に混じりに混じって、僕の悲鳴も同時、暗い校舎内に響き渡った。
それが思いきり反響して、更に僕達の恐怖は助長される。
「いやだよぉおおおぅ!もう帰りたいよぉおおおぅ!」
「でも、あとはもうっ、お、おくっ、屋上、だけ、だよ!」
半泣きになりながら、情けない友人と手を握りあって屋上へ続く階段を見上げる。
踏ん張っている両脚がガクガク揺れて、視界がぼやけて、なんかもうぐちゃぐちゃだ。
まさか僕が、まさか僕が、まさか僕が!
こんな風に、なるなんて…!
(あの根暗女が参加してなくて良かった…!こんなところ見られたら、僕の威厳もプライドもなにもかもめちゃめちゃだ…!まあ、あの根暗女にはトモダチが居ないから参加してる可能性はゼロだ…!ゼロなんだ…こわくないぞ、僕!)