臆病なサイモン
きゃあーっ!
わあーっ!
僕達の後続グループの悲鳴に反応して、目尻に溜まっていた涙が一筋、流れた。
悲鳴が聞こえるから、コワイ思いしてるの、僕達だけじゃない、って救われる反面、遠くから聞こえるリアルな効果音のようにも思えて、やっぱ救いは、ない。
ブルブル震えている僕達の真横には、真っ暗で奥が見えない男子トイレ。
何故か扉が設置されていないそこは、入口の正面に用具入れがあって左に曲がると個室と便器が並んでいる。
その雰囲気が妙に「カンジ」させて、僕は震え上がった。
その暗闇の中に、なにかが、居そうで。
「……ッ」
無意識に、心臓をバクバク言わせながら、恐怖に動けない状態で、凝視してしまう。
友人は未だに階段の先を見つめながら、行くか行かないか迷っている。
「…、っき、」
けど、ぼくは、めが、そらせなく、て。
トイレのかげから、気配、が。
―――スルリ。
しかいに、しろい、なにかが。
ドクッ、ン!
「っぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああッママァ―――ンッ!」