臆病なサイモン
―――屋上へのドアは、半分だけ開いていた。
少しだけ明るい外が垣間見えて、一瞬、薄ぺらい安心感が胸を占める。
あぁ、もう、解放される。
僕達、助かるんだ。
(あ、あたたたたたたりまままままえだろろろろっ!ゆっ、ユーレイなんて非科学的で物理的に証明できないモノが存在するわけがない!例え存在していたとして、それが受験の役に立つわけがないじゃないか…!そんだ、ユーレイなんて存在しない…!なにもかも目の錯覚だ…!もう、外に出るんだ!ユーレイなんて、いないぞぉおお!!)
あぁ、外は、明るい。
心臓が少しだけ、動きを緩めた。
もう、安全だ。
もう、大丈夫。
―――だいじょ…。
ズルリ、…。
その時、耳を舐めるような、音が、した。