臆病なサイモン
え、化かし役はどうしたんだって?
…ブラザー、ちょおKY。
「…んだよー。誰もいねぇじゃん」
「ビビらせんなよなー」
「シケた。帰ろうぜ」
うん、なんちゃって休憩中。
だって、ホンダをぶちのめしたら一気に熱冷めちゃって、その後はもう、なんかやる気失せた。
俺とダンゴ、白いシーツを身に纏って、お互い隣に腰掛けて、今、屋上で一番高い場所に居る。
貯水タンクが設置されてるアスファルトの上。
つまり校舎内から階段を上がって屋上に出られる入口の、真上。
どうせ肝試し組が廻ってくるのは数分おきだし、ちょっとくらいいいかな、なんちてー。
それに今夜は。
「いつもより、星が見えんね」
どこか風はひんやりしてるし、雲のない夜空は真上に抜けて、綺麗だ。
夏は夏だけど、なんかひんやりした、だけどやっぱ夏っぽい、纏わりつくような風。
今日の気候は、涼みにはもってこいだ。
チラチラ光る星はブルーの空に満遍なく広がってて、そのナチュラルな空に、地平線近くの街明かりがいいエッジ効かせてる。
イイ夜、って今夜みたいな夜のこと言うんだぜ、な、ブラザー。