臆病なサイモン
「…なにを、願うの」
もう一度、急かすでもなく、確認するでもなく、ダンゴは静かに、そう繰り返した。
切れ長の眼は瞬きもしない。
人形と対峙してる気分になって、遠くで悲鳴を上げているやつらが羨ましくて堪らなくなった。
少なくとも、ただ叫んでるやつらは、こんな重苦しいプレッシャーを感じていないから。
それとも、俺が弱虫だから、臆病だから、だから、飲み込まれそうになってんのかな。
―――わからねえけど、わかってることも、ある。
「俺の、ねがいごと……」
なんて安直な響き。
俺がここで殻に閉じ籠って、誤魔化すようにちゃらけて答えたら、ダンゴはもう二度と、俺に心を開いてくれなくなると、思った。
俺のドロドロした、今まで蓄積されてきた醜いないものねだりを、欲を、感情を、隠さず、曝さなきゃ。
ダンゴは、きっと。
『君は、他人を羨み過ぎてる、ただのコンプレックスの塊だ』
「俺」は、そこで終わっちまう。