臆病なサイモン








「……そんなに長いと、三回も繰り返せないね」


そのあっさりとした単純な感想に、なぜか涙が引っ込んだ。

図るようにきゅうと握られた手に促されて、埋めていた顔をゆっくりと持ち上げる。


…わけ、わかんねーよ。

つまり、叶わないって、言いたいのかよ。


そのぐちゃみそな思考達はまとまらなくて、眉尻は下がってるし涙ボロボロだし、鼻の穴は開いてるし、きっと、すげぇブサイクな顔してるのに。


ダンゴは決して、笑ったりしなかった。

切れ長の眼がいつもより柔らかいような、暖かいような―――もしかしたら流してる涙のせいかもしれない。


いつもと同じような、違うような、ダンゴが。



「だから、」


真っ直ぐな声で、真っ直ぐな視線で、必死になって、俺に「想い」を向けてくれてる。



「…それを叶えるために、サイモンは産まれてきたんだよ」


自力で叶えられる願いなら、願ってはいけない、って。


祈りで終わらせるには、まだ早い。





(…だってまだ、なにもしてないでしょう)



君ならできるよ、サイモン。










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