臆病なサイモン
「…ダンゴは、」
ほら見ろ。
ダンゴは俺にとって、マジモンのヒーローなんだ。
空も飛べない、怪力でもない、ビームだって発射しない。
それでもダンゴは、出会ってこのかた、ずっと俺のヒーロー。
「…ダンゴは、なにを願うの」
でも、それはただのポーズだって、俺は知ってる。
だってダンゴは、俺のユーレイだから。
きっと、根っこが似てるんだ。
だから俺は、ダンゴが怖かった。
必死に隠してきたなにもかもを見透かされそうで、今まで築いてきた全てが、足元から瓦解していきそうで。
だって俺とオマエ、鏡に映したように、似ているから。
『「人間」に踏み潰されないように、気を付けなきゃね』
そう言ったダンゴは、未完成な「自分」がどんな風に見えていたんだろう。
「人間」にはまだまだなれそうもない、未熟で不恰好で、未完の、サナギ。