臆病なサイモン








「痛いじゃないか」

そして、意外にもそう突っかかってきた。

「不良」に見えるらしい俺にそこまで言うなんて、実は根性座ってんのか?




『親が死んじゃってカワイソー』


…なんて見直すわけねーだろ。


神経質そうな顔が、なんか無性にムカついた。






「…ホンダくんじゃん」


だから、俺もちょっと頑張ることにする。

ダンゴの仇討ちだなんてつもりは毛頭ないけど、なんか純粋に、「ホンダ」くんに八つ当たりしたくなったのだ。



…性格ワル。


まぁでも、ホンダ相手ならその点はおあいこだし。


俺はなるべく意地の悪い顔をしてみせて、自分より身長の低いホンダをわざと上から見下ろした。

俺のこと「不良」だと思ってんなら、それっぽく振る舞うのもアリだよな?




「今日はダン…じゃなかった。段このえとは一緒じゃないんだ?」


ホンダにとって俺は、「自分がイトコをいたぶってるところを盗み見していた不良」てとこだろう。



アタマいーわ、俺。


なんて考えてたら、ホンダが不愉快丸出しの顔を浮かべた。







< 176 / 273 >

この作品をシェア

pagetop