臆病なサイモン
「痛いじゃないか」
そして、意外にもそう突っかかってきた。
「不良」に見えるらしい俺にそこまで言うなんて、実は根性座ってんのか?
『親が死んじゃってカワイソー』
…なんて見直すわけねーだろ。
神経質そうな顔が、なんか無性にムカついた。
「…ホンダくんじゃん」
だから、俺もちょっと頑張ることにする。
ダンゴの仇討ちだなんてつもりは毛頭ないけど、なんか純粋に、「ホンダ」くんに八つ当たりしたくなったのだ。
…性格ワル。
まぁでも、ホンダ相手ならその点はおあいこだし。
俺はなるべく意地の悪い顔をしてみせて、自分より身長の低いホンダをわざと上から見下ろした。
俺のこと「不良」だと思ってんなら、それっぽく振る舞うのもアリだよな?
「今日はダン…じゃなかった。段このえとは一緒じゃないんだ?」
ホンダにとって俺は、「自分がイトコをいたぶってるところを盗み見していた不良」てとこだろう。
アタマいーわ、俺。
なんて考えてたら、ホンダが不愉快丸出しの顔を浮かべた。