臆病なサイモン
「私」は後悔したよ。
「君」はまだ、間に合うよ。
余計なお世話だ、っていつもみたいに撥ねのけられないのは、多分、相手がダンゴだからかもしれない。
いつも無表情で、凜としてて、なに考えてるか解らなくて、そのくせ超クールで、それでもたまに、煮え切らない俺を助けてくれたりして。
『自分のせいで親が死んじゃうなんて、同情しちゃうよ』
…ポキッ。
折れたシャーペンが宙に浮く。
「…同情なんかしたら、殴られるに決まってんだろ」
なによりダンゴがそんな嘲りを受けていいような人間じゃないってのは、俺が知ってる。
ダンゴは俺から見たら立派な「人間」で、「サナギ」の俺にはとうてい手が届かないような「イイヤツ」で。
―――でも。
『「人間」に踏み潰されないように、気を付けなきゃね、お互いに』
そう言って、俺と自分をひとくくりにしてくれたあの時のダンゴは、確かに「未完成」だったんだ。
『―――伝えたいことが、あったのに』
後悔してる、ダンゴの「未完」の部分。