臆病なサイモン
『……ずっと「今」が、続くと思ってた』
そうだよ、俺にもそう思ってた時期があったんだ。
キンパツの理由も、クロカミとの違いも、なにもかもどうだってよくて、無知なまんま、「ふたり」が大好きだった頃。
『―――似てない、ね…』
そんな渇いた言葉で、「しあわせ」が崩れていくなんて思ってもみなかった。
それでも、「あの人」は未だ、俺に向かって笑いかけてくれるのに。
『悪かったな…』
そうじゃない。
悪いのは俺のほうだ、ごめん、俺が悪いんだ。
って心の中で叫んだって、エスパーじゃないんだから、伝わるわけないじゃん。
伝わるわけないのに。
わかりきっているのに、言葉に出来ない。
(…おだかずまさでも歌うか?)
そんで最後にはおふざけしかできない自分を呪う。
―――そうだよ。俺、まだ、なにもしてないじゃん。
『君ならできるよ、サイモン』
なんだか無性に、ダンゴに会いたくなった。