臆病なサイモン
ピンポーン。
「うるせ」
しつこい呼び鈴に階段を降りながら、そういや今日は誰も居ないんだ、なんて。
あれだけ後悔しといて、父親が居ないことにほっとしてる。
サイテーな、俺。
(…ダンゴに会いたいなー)
まず「ホンダ」の口から色々聞いたことを謝って、もし許してもらえなかったら奮発してモス奢って―――そんであの毒舌で叱って欲しい。
そんで、「あの人」に向き合える覚悟を、ちょっとだけ分けてほしい。
ダンゴにも、なにも返してあげられないかもしれないけど。
…ポンピーン。
「何回、鳴らすんだよ」
今、何時だと思ってんだ?
朝の十一時だぞ?
…適当な時間じゃねえかよ。
がらんとしたリビングを突っ切って玄関に向かう。
サンダル突っ掛けて、ノブに手を掛けて、もう一度鳴らされる前に、扉を開けた。
ガチャ。
「はーい、!?」
…びっくりモンキー、再び。
突然現れたその人物の正体。
そんなまさか。
俺は驚きのあまり、まんがのように固まってしまった。
「…おはよう」
カミサマ。
こんなちまい願い事なんか、叶えなくていいっつの。