臆病なサイモン
* * *
『段てさ、なに考えてっかわかんねーよな』
始まったキッカケは、そんな下らない陰口だった。
「ドライな子供だったんだ、昔から」
それは、スクリーンの音を前に、消え去ってしまうような声だった。
だから、ほんの少しだけ、ダンゴに頭を寄せて、耳を澄ます。
「ケイコ」の悲鳴なんか気にならないくらい、目の前の「傷口」に集中した。
「「オトモダチ」なんてものには、興味もなかった」
教室の端で、ただ黙々と毎日を過ごしているのが常。
行事の盛り上がりにはついていかないし、「お喋り」もしない。
「級友」の枠から外れていたらしい「私」は、イイ的だったんだと思う。
小学校からの継続で顔見知りも多い中、私には「友人」らしき人物がひとりも居なかったことも、理由のひとつだったのかもしれない。
陰口から始まって、次は靴を隠された。
次は教科書。
次は机に傷を付けられた。
次は、私が触ったものは「汚い」からと、避けられるようになった。